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正しい歯の磨き方【歯医者が丁寧に教える】

有地歯科医院院長。日本口腔感染症学会会員

有地 望

有地歯科医院2代目院長。保険でも納得の行く治療ををモットーとし日々治療をしています。 有地歯科に勤務する傍らタレント事務所に所属し各方面で…

こんにちは、有地歯科医院で院長をやっている有地です。

歯医者をやっていると、患者様からよくこんな質問をされます。

「一日何回磨くと良いんですか?」
「歯磨き粉はどれを使えばいいですか?」
「歯ってどうやって磨けばいいですか?」

歯については、悩むのも当然だと思います。
しっかりやっているつもりなのに、歯医者に行ったら虫歯が見つかったり…。

歯磨き、難しいですよね。

でも、今日からは大丈夫です。
歯科医である私が、歯ブラシの使い方からおすすめのデンタルグッズまで、「正しい歯の磨き方のすべて」を解説します。

是非、これを読んで今日からは綺麗な口内環境で生活しましょう!

目次

  1. いつ歯を磨くべきなのか?
  2. 歯磨き粉の選び方と種類について
  3. 歯ブラシの選ぶ基準について
  4. 歯ブラシの正しい持ち方って?
  5. 歯間ブラシの必要性
  6. 歯の磨き方、7つのステップ
  7. 磨いていても口が臭い
  8. 歯が磨けているかチェックをしてみよう
  9. まとめ 歯をなるべく残そう

いつ歯を磨くべきなのか?

実は人によって結構異なる、一日に歯を磨く回数
そもそも、どのタイミングで、一日何回磨くべきなのでしょうか。

歯を磨くべきタイミングを理解するためには、まず、虫歯ができるプロセスを理解する必要があります。

虫歯ができるプロセス

虫歯ができるプロセスはざっくり以下のとおりです。

  1. 口の中に食べ物が入り、咀嚼し、飲み込む
  2. 歯に食べカスが残る
  3. 口の中にいる虫歯菌が、食べカスに含まれる糖質を分解し、乳酸を作る
  4. 乳酸が一定の濃度を越えた時、歯の表面が溶け、歯に穴が開く(虫歯ができる)

このプロセスを考えると、まず歯を磨くべきタイミングの一つがわかりますよね。歯を磨くべきタイミングの一つは食後です。

食後は歯磨きをするべき

虫歯菌が作り出す酸の濃度が一番高くなるまでの時間は約5分といわれています。食後すぐに歯を磨くのは虫歯菌が作る酸の濃度が高くなる前に虫歯菌と虫歯菌が作った酸、それとその材料である食べカスを洗い流してしまおうという目的があるのです。

<補足>
虫歯菌によって作られた酸はその後唾液によって薄められていき、無害化されていきます。
ご高齢やお薬によって唾液が出にくくなっている場合は、いつまでも酸の濃度が薄まらずムシ歯へのリスクが高いままになってしまいます。

食後以外の歯を磨くタイミングは?朝起きた時や夜寝る前には歯を磨くべき?

結論からいうと、食後以外にも、朝起きた時、夜寝る前に歯を磨くべきです。

朝起きた時、夜寝る前に歯を磨く理由は「寝てから起きるまでの間は新陳代謝が低下してお口の中の唾液分泌量が減るから」です。

唾液分泌量が減ると、虫歯菌の作る酸の濃度はいつまでも下がらずに歯を溶かし続けます。寝る前に歯を磨かなければ、酸の材料である糖質も十分に口の中にあるので、虫歯菌はさらに酸を作り続けます。

また、就寝中は新陳代謝が下がり、唾液量が少なくなります。それにより、虫歯菌以外の細菌も増殖し歯肉や歯槽骨を攻撃しだします。朝起きた時に、口がネチャついたりお口が臭くなっているのはお口の中全体の細菌が増えた証拠なのです。

就寝前に歯を磨くべきなのは、新陳代謝が低下するに備え事前に食べカスなどを除去し細菌を減らしておくべきだからです。
そして、朝起きた時に歯を磨くべきなのは、お口の中で増えた細菌を減らし、血流を良くしダメージを受けた歯肉の回復を促すべきだからです。

結論
食後と朝起きた時・寝る前は意味合いが異なるため、全てのタイミングで磨くべき!
理想は1日5回

歯磨き粉の選び方と種類について


ドラッグストアや量販店に行けば各メーカーから様々な歯磨き粉が売られています。それぞれ色々な薬効成分が入っていて、特徴のある歯磨き粉なのですが、何を基準にして歯磨き粉を選んでいいかわからずに困っている人も多いと思います。

そこで歯磨き粉を選ぶポイントを紹介します。

ポイント1:フッ化物(フッ素)が配合されていること


歯磨き粉には、薬効成分としてフッ化物(フッ素)として「フッ化ナトリウム」が配合されている物があります。積極的にフッ化物(フッ素)が配合されている歯磨き粉を選びましょう。

フッ化物(フッ素)には以下の効果があります。

  • 歯の耐酸性を上げ、虫歯菌の作る酸から歯を守る
  • 虫歯菌の酸によって溶けた歯の表面を再石灰化させムシ歯の進行を抑制する

フッ化物(フッ素)って害がある??
フッ化物(フッ素)には害があるのでは?と心配する人もいると思います。
フッ化物(フッ素)自体は人体に害のある物質ですが、歯磨き粉に入っているフッ化物(フッ素)は濃度も薄く飲み込んでも悪くてもお腹が緩くなる程度のものです。

ポイント2:研磨剤が入っていること

一般に歯を白くすると言われている歯磨き粉には研磨剤が入っています。

研磨剤には、歯の表面に付いた汚れを削り落とし、本来の色を取り戻す効果があります。歯を磨いているのに、歯の汚れが取れない、茶渋やタバコのヤニが落ちにくいという方は、研磨剤の入っていない歯磨き粉を使っているのかもしれません。

歯の表面に付いた汚れを削り落として本来の色に戻すわけですから、色調的に歯が白くなるわけではありません。日本人の歯の色は真っ白ではなくクリーム色や象牙色に近い色をしており、加齢的に黄ばみが増して行きます。色調的に白くするのであればホワイトニング等の施術をする必要があります。

注意点
研磨剤の入っている歯磨き粉は歯の表面の汚れを削り落としているので、磨き方を誤ると健康な歯質を削ってしまい知覚過敏などを誘発する恐れがあります。

歯医者さんのおすすめ歯磨き粉

歯磨き粉に関してのポイントが理解できたところで、ここからは、具体的に歯医者である私がおすすめする歯磨き粉を紹介していきます。

チェックアップフォーム(ライオン)


フッ素入りの泡状歯磨き粉です。泡状なので歯磨き粉が口の中にムラ無く広がります。香料もマイルドで刺激が少なく高齢者の方やお子様も楽に使えます。研磨剤が入っていないので歯ブラシで歯が削れにくいですが、茶渋やステインが落ちにくいという欠点があります。

最後のうがいは大さじ1杯程度の水でかまいません。その方が、フッ素の薬効成分がお口の中に残り易く、ムシ歯進行抑制効果が期待できます。

チェックアップフォームは薬局やドラッグストアでは売られておらず、歯科医院でしか売られていない歯科専売品の歯磨き粉です。

新カムテクト(グラクソスミスクライン)


当院でも特に重度な歯周病の方へのブラッシング指導に用いている歯磨き粉です。やや高価ですがバクテリア殺菌や抗炎症作用があり歯周病や口臭予防に効果があります。フッ素も配合されているので、ムシ歯予防にも効果的です。

薬用生葉(小林製薬)


薬用生葉の特徴は、天然の薬草由来成分が配合されていて、強い薬草臭があることです。この薬草臭によって歯周病に効いていると体感できます。漢方薬独特の臭いが苦手な人には不向きかもしれません。

歯ブラシの選ぶ基準について


どんなに良い歯ブラシをつかっていても、歯ブラシがキチンと歯面に当たっていなければ歯は綺麗に磨かれません。
歯ブラシを選ぶ時のポイントは以下の3点です。

  • 毛先が柔らかいこと
    → 毛先硬い方が歯を磨けるような感覚は得られて爽快感がありますが、歯や歯肉を傷つける恐れがあるので毛先は細く柔らかい方がお勧めです。
  • ブラシ部が小さいこと
    → ブラシ部が大きい方が一気に洗えて楽ですが、死角が大きく、磨き残しが多く出来てしまうという欠点があります。ブラシ部が薄く小さい方が奥歯の奥の角や歯と歯の隙間を洗い易いです。
  • 柄の長さが適切なこと
    → 歯ブラシは商品によって柄の長さ・太さが違います。例えば柄が長く太いものは、小柄な女性や手の小さい方には扱いにくい場合があります。

歯ブラシの正しい持ち方って?

歯ブラシの持ち方には、「ペンを持つような持ち方のペングリップ」と「歯ブラシの柄を握って持つ持ち方のパームグリップ」の2種類があり、磨く場所に合わせて持ち方を変えるものとされています。

しかし、歯磨きは、正しい持ち方をする事が目的ではありません。歯磨きは、歯を綺麗に磨く事が目的です。持ち方にこだわらず、綺麗に磨けるように持ってもらう方が良いと思います。

ただし、歯ブラシで歯をゴシゴシと強く磨くのはNGです。

<強く磨いてはいけない理由とは?>
力を込めて歯を磨くと、歯ブラシの毛先が開いて歯ブラシがダメになってしまうだけでなく、歯ブラシで歯が削れてしまったり、歯ブラシの圧で歯茎が退縮してしまい、歯の寿命を縮めてしまう事になります。

歯は指2本でつまむ程度の力で十分に磨けます。

歯間ブラシの必要性


歯と歯はそれぞれ独立して生えているので、歯と歯の間には扇状の隙間があります。これを扇形空隙と呼びます。扇形空隙には唾液が通行することで、食べカスなどを押し流し、歯を綺麗に保つ役割があります。

まれにこの扇形空隙が気になるから埋めて欲しい、とおっしゃる患者様がいますが、この空隙は自然なものであり必要なものです。

扇状空隙は食カスや歯垢・歯石で埋まりやすく、歯ブラシだけでは磨けない事も多いです。歯間ブラシを使って歯と歯の間を綺麗にしてあげる必要があります。

歯の磨き方、7つのステップ

人それぞれ歯並びや持ち方利き腕など個人差があるので、今回は歯医者である私の歯の磨き方を7つのステップで紹介します。

STEP1 歯磨き粉を歯ブラシにつける


歯ブラシに歯磨き粉をつける時は、歯ブラシの表面に一層つけるくらいの量で十分です。歯磨き粉の中には香料や甘味料が入っているものが多く、その刺激と爽快感で多くの唾液が出てしまい、歯が磨けた気分になってしまいがちです。

STEP2 利き手と反対の奥歯の頬から磨く。


特にここから磨き始める意味はありませんが、お口の中を6つのブロック(右下奥、下前歯、左下奥歯、左上奥歯、上前歯、右上奥歯)に分けて磨いています。奥歯はスクラビング法バス法で磨いています。
1つの目のブロックの頬側が磨き終わったら、同じブロックの舌側、咬合面と磨いていきます。

■スクラビング法

スクラビング方は歯ブラシの毛先を歯面に対し90度に当て歯ブラシの柄方向に細かく前後に動かす磨き方で歯の側面、咬合面を磨くのに適しています。

■バス法

バス法は歯ブラシの毛先を歯面に対し斜め45度、歯ブラシの角の部分を使って磨く方法です。歯の毛先が歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)に入ることで歯周病対策になります。

STEP3 次のブロック(下前歯)へと移動する


左下奥歯が磨き終えたら 次のブロック前歯と移動します。前歯も基本スクラビング法、バス法で磨いていきますが、舌側や歯と歯の隙間に毛先を通すために歯ブラシの持ち方を変え、垂直法でも磨いていきます。

■垂直法

垂直法は歯ブラシのかかと(柄側の角の部分)を使い、手前に汚れを搔き出すように磨く方法です。前歯の裏や歯の隣接面の汚れを磨くのに適しています。

STEP4 次のブロック(左下奥)に移動


STEP1と右左が変っただけですることは同じです。左下が磨き終わりますと同様に左上ブロックを磨いていきます。途中、口の中に唾液が溜まるようでしたら随時吐き出していきます

STEP5 フォーンズ法で全体をマッサージ


すべてのブロックを磨き終えたら、一旦口をすすいだ後 全体をフォーンズ法で磨き残しの無いように磨いていきます。

■フォーンズ法

フォーンズ法は毛先を歯面に90度にあて細かく円を連続して描くように動かします。この時、歯面だけでなく歯茎も磨くように動かします。

STEP6 歯間ブラシを使う


鏡などで磨き残しがない事を確認しつつ歯間ブラシで歯と歯の間を磨いていきます。
歯間ブラシは、頬側・舌側から真っ直ぐに差し込んで前後に動かします。
歯ブラシで出血していたり、歯周病でお口の中がむくんでいる時は、歯間ブラシにも歯磨き粉をつけて歯肉をマッサージします。(私は普段はしていません)

歯間ブラシって何を選べばいいの?

歯間ブラシには4SからLLまでの大きさがあり、歯の隙間の広さに合った歯間ブラシを使い事が大切です。

大きな歯間ブラシを無理やり通すのは怪我の元なので最初は3S程度の細い物を使ってください。歯並びなどが悪く3Sや4Sでも通らない時は、無理をせず糸楊枝(デンタルフロス)を使うようにしてください。

STEP7 デンタルフロスを使う


デンタルフロスは隣り合った歯の隣接面を磨くのに適した道具です。

デンタルフロスには柄の付いたタイプの物と柄のないタイプの物が市販されています。歯と歯の間を上から下に差し込むようにして使います。この時勢いあまって歯肉を傷つけないようにしてください。

治療済みの歯にフロスを通すと、フロスが充填物に引っかかり、歯の詰め物などは外れてしまう事があります。フロスが引っかかって上下に動かせなくなってしまった場合は前後に引き抜いてください

歯を磨くときの注意点

下の前歯の舌側や上の奥歯の頬側は歯石の付きやすい場所ですので、特に意識して磨く必要があります。また、歯の咬合面には物を噛んで磨り潰すための溝や小さな窪みがあり、磨き残しが多くムシ歯になりやすい場所です。


写真にある歯列の一番終わりの歯の側面などは物理的に歯ブラシの届きにくくムシ歯や歯周病の多い部分です。歯列の一番後ろの歯の側面などは肉眼で見にくく虫歯になっても気付きにくいので注意が必要です。

どうしても磨けない場合は?

ご自分できちんと磨けているのかわからない場合や、どうしても磨けない・歯ブラシが届かない場所がある場合は、最寄りの歯科医院へ行って歯医者さんや歯科衛生士さんにブラッシング指導をしてもらうという方法もあります。

歯科医院でブラッシング指導を受ける場合は歯ブラシを持って行くのを忘れないようにしてくださいね。

磨いていても口が臭い

歯を磨くことを説明してきましたが、たまに患者様に「丁寧に磨いても口が臭い」という相談を受けます。
口は咽頭や肺、胃腸と連結しており、お口の中以外に原因がある場合もあります。
ムシ歯や歯周病などの口臭の原因となるものがなく、歯を磨いて臭いの原因となる細菌を減らしてもまだ口臭が気になる場合は耳鼻咽喉科や消化器内科などの受診をお勧めいたします。

まずはチェックしてみよう!
最近ではドラッグストアなどで口臭測定器なども市販されています。毎日のお口の臭いが気になる方は、お求め頂いてチェックするのもいいでしょう。

歯が磨けているかチェックをしてみよう


歯を磨く場所は洗面所やお風呂場など鏡のある所かと思います。磨き残しの無いように鏡を見ながら歯を磨く事をお勧めします。

きちんと歯が磨かれているかどうか不安な場合は、磨き残しによる歯の汚れだけ赤く染める『歯垢染色液』・『染め出し液』などを使って確認しましょう。『歯垢染色液』はドラッグストア等で入手可能です。お近くのドラッグストア等にお取り扱いが無い場合は、お近くの歯科医院にご相談ください。

まとめ 歯をなるべく残そう

日本歯科医師会では80歳まで20本自分の歯を残そうという『8020運動』をしています。20本自分の歯が残っていれば満足な食生活ができるといわれています。

成人の歯は親知らず4本を含めると全部で32本あり、『8020運動』という運動が起こるくらいには80歳までに20本残すというのは難しい事なのかもしれません。しかし、今回の記事での歯磨きを毎日しっかりとやっていれば、20本残すことも達成できるものと思います。

歯は大切です。

すでに多くの歯が抜けてしまっている人もあきらめずに しっかり歯を磨いて出来るだけ多くの歯を残すようにしましょう

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有地歯科医院院長。日本口腔感染症学会会員

有地 望

有地歯科医院2代目院長。保険でも納得の行く治療ををモットーとし日々治療をしています。
有地歯科に勤務する傍らタレント事務所に所属し各方面で活躍中

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