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日本における主なマダニの種類について【臨床検査技師が教える】

臨床検査技師、医動物学非常勤講師

中西 正憲

臨床検査技師として細菌検査、寄生虫検査、衛生動物(ダニ,ハエ等)検査をしています。大学の非常勤講師として 寄生虫・衛生動物についての授業も受…

はじめまして、臨床検査技師をしています中西と言います。
皆さんはマダニと聞いてどんなことが思い浮かびますか?
屋外で犬を飼われている人は予防などの方法も含めてご存知のかたもいらっしゃるかと思います。
しかし、一般的にダニと聞きますとよく殺虫剤のCMなどで見かけるカーペットの中に蠢く姿が思い浮かぶかもしれません。

今回お話をさせて頂くのは家の中に住むダニではなく、主に山や草むらなどで見かけるマダニのお話をさせて頂こうと思います。
どんな生活をしているのか、どんな種類がいるのかあまり耳にすることのないマダニに関するお話についてみて頂ければと思います。

イラスト:P.N.ちくわさんから友情提供

ダニエル君の一言メモ
初めまして、マダニのダニエルと言います
今回は皆さんに僕たちダニの世界についてお話させて頂きたいと思います
普段、聞くことのないようなことをお伝え出来たらと思います
あ、講師料として皆さんの生き血を・・・なんてことは言いませんから
安心してください。

目次

  1. マダニとは何か?
  2. マダニはどんな生活をしている?
  3. 人に害を与える主要なマダ二
  4. その他のマダニ
  5. マダニの被害にあわないための対策

マダニとは何か?

ダニについて

まず初めにダニという生き物についての説明をさせて頂きます。
「ダニとはどんな生き物ですか?」ということを聞かれると多くの人が虫と答えるのではと思いますが、ダニは昆虫ではなくクモやサソリとおなじ節足動物の1種として分類されます。

ダニと昆虫では多くの部分で違いが認められます。最も異なる部分は体の構造です。
昆虫は頭部・胸部・腹部の3つの構造に体が別れていますが、マダニはもっと少なくて顎体部と呼ばれるいわゆる頭の部分とその下に各体節が癒合して一体化した胴体部と呼ばれる2つの構造からなります。
(頭の部分と言っても昆虫の頭部の様に目などがあるわけでなく、鋏角口下片と呼ばれる口器構造からなります)
昆虫には見られる触角はありません。イメージとしてはクモを想像していただくと解りやすいかと思います。
クモをずっと小さくしたような見た目をしているのそれがダニです。

ダニエル君の一言メモ
ダニは古生代デボン紀から化石が見つかっている地球の大先輩なんだよ!
1700属約3万種が知られていたけど、今は研究が進んで60万種を超えると考えられているよ
人や動物に寄生するひと、昆虫に寄生するひと、土中で自由生活をおくるひと、屋内の塵に住むひとそれぞれの生活しやすい環境で生きているんだよ

屋内に住むダニと屋外に住むダニ

続いてダニについてですが、殺虫剤のラベルや掃除機のCMなどでよく描かれています。

上記写真の様な図を一度は目にされた方も多いのではないかと思いますが、今回の話の中心となるマダニはこれらのダニとは異なる生活を送っています。
ダニを大きく別けますと屋内に住むダニ屋外に住むダニに分けられます。
これからこれらのダニの違いについて説明していこうと思います。

屋内に住むダニ(イエダニ・ヒョウヒダニ類)


↑イエダニ(出典:PIXTA)
屋内などで見られるダニの代表格と言えるものがイエダニなどの動物に寄生するダニ類ヒョウヒダニ等室内で自由生活を送るダニです。
イエダニは主にネズミに寄生するダニでネズミの巣で生活をしています。大発生した場合や宿主であるネズミが死んでしまった場合などに宿主を求めて人から吸血する場合もあります
同様の生活をおくるものにトリサシダニなどがあります。

続いてヒョウヒダニです。ヒョウヒダニはイエダニと違って人の血は吸いません。
主に室内の塵などから見つかるダニがこのヒョウヒダニです。ヒョウヒダニはヒトのフケなどを食べて生活し、室内の塵だけでなく各種の食品動物の飼料などにも発生しアレルギーの原因にもなります。

ダニエル君の一言メモ
ダニと聞いてすぐに思い浮かぶのが、コナダニ君やヒョウヒダニ君みたいな屋内塵に住むみんなのことかな
彼らは直接人を襲ったりはしないけど、増えすぎるとアレルギーの原因になったり、コナダニ君たちを食べるツメダニ君が増えて間違って人を刺しちゃうこともあるよ
コナダニ君たちは暖かくて湿度が高い環境が好きだから、換気をしっかりして掃除もこまめにしてね!
コナダニ君たちを屋内から一掃することは不可能だから上手く付き合ってね!
イエダニ君やトリサシダニ君はネズミや野鳥を防除することで防げるよ!

屋外に住むダニ


↑マダニ属のマダニ(出典:PIXTA)
屋外に住むダニの代表と言えるのが今回の話のメインとなるマダニです。
マダニは主に野生動物を宿主としています。野生動物に寄生しそのを餌としています
そのためマダニは学問的には寄生虫の1種として扱われ、偏性外部寄生虫と呼ばれています。
マダニの仲間をさらに分けるとマダニ科に属するものとヒメダニ科に属するものに分けられます。
人を吸血し様々な感染症を媒介するなどの問題となるのがマダニ科のマダニです。

↑マダニの形態学的な説明
マダニ科のマダニの特徴としては
体背面にかたい背甲(背板とも呼ぶ)をもつこと
ノコギリの様な歯状突起が並んだ口下片をもつこと
第1脚の先にハーラー器官と呼ばれる鋭敏なセンサーを備えることなど
があげられます。
またマダニ類はダニの中でも大型の種類(3~7㎜程)で肉眼的に観察が可能です。逆にイエダニやヒョウヒダニは1.0㎜以下と非常に小さく肉眼での観察が困難です。

主なダニの種類


害虫戦隊ダニンジャー:メンバー紹介
ヒゼンダニ(中央):人の皮膚に寄生して疥癬という病気を起こします。病院や老健施設では厄介者扱いされます。
ヒメダニ(右手前):マダニと同じマダニ属に属するダニです。主に鳥に寄生しています。
マダニ(右後ろ):野外で見られる吸血性のダニです。色んな病気を媒介します。
コナダニ(左手前):屋内の塵に住んでいます。人のアレルギーの原因になります。
イエダニ(左後ろ):主にネズミに寄生します。時に人を刺すこともあります。

マダニはどんな生活をしている?

マダニの一生

では続いてマダニのライフサイクルについてお話をしていきます。
マダニの生活についてですが、日本に生息しているマダニのほとんどが3宿主性という性質を有しています。
前述のとおりマダニはヒトや動物の血を餌としているので、成長するためには必ず宿主となる動物が必要です。

卵から孵化した幼ダニは手近な動物に取りついて吸血します。お腹いっぱい吸血したダニは宿主から離脱し物陰などで脱皮して若ダニとなります。若ダニも同様に吸血・離脱を行って成虫である成ダニへと成長します。成ダニとなったマダニは交尾を行い雌ダニは新たな宿主から吸血、お腹いっぱいになると宿主から離れて高湿度で光のあたらない場所で数千から数万個を産むとその一生を終えます。

3宿主性について

決まった1種の動物(宿主)に寄生するのではなく、吸血のたびに宿主への寄生と離脱を繰り返します。基本的に寄生する宿主は手近な動物ならば何でも良いです。

マダニの吸血方法

マダニは吸血の方法も変わっています。などの様に口を突き刺してすぐに吸うというわけではありません。マダニは宿主に取りついて鋏角と口下片を突き刺すのと同時にセメント物質と呼ばれる唾液を分泌します。このセメント物質は名前の通りすぐに硬化してマダニの体を強力に宿主の体に貼り付けてしまうのです

マダニの吸血期間は長く数日から数週間に及ぶ場合もあります。マダニはこのセメント物質で体を宿主に貼り付けることで長期にわたって吸血に専念することができると言うわけです。
そして、吸血している間は宿主である動物とともに移動し、満腹になれば離脱して成長・産卵を行うため宿主である動物の行動範囲に伴ってマダニの生息範囲も拡大していきます

ダニエル君の一言メモ
マダニは生活のために動物に取りついて血を吸わないといけないから、いつも草陰や葉っぱの裏で動物が通るのを待っているんだ
動物から動物へのヒッチハイク生活だから行き先も解らないし、着いた先でまた宿主を探さないといけないからこの生活も意外と大変なんだよ

人に害を与える主要なマダ二


↑服にくっついたチマダニの仲間
マダニにも多くの種類があると言うことをお話しましたが、その中でも特に人の被害が多いマダニの種類についてのお話に移らせて頂きたいと思います。
マダニの種類の中で注意が必要な種類としてあげられるのがマダニ属チマダニ属キララマダニ属と呼ばれる種類のマダニです。この中でも特に注意が必要とされる5種類のマダニについてふれていきたいと思います。

マダニの見分け方のポイント!

形態の名称マダニ属の特徴チマダニ属の特徴キララマダニ属の特徴
顎体部長い短い長い
口下片長い短い長い
蝕肢長い短いハの字型長い
背甲楕円形楕円形菱形
単眼無し無し有り(背甲の辺縁)
花彩無し有り有り

*花彩:胴体部の後端に見られるヒダヒダ(ホタテ貝様)
*これらのポイントはあくまで一例です。マダニの形態学的特徴は成ダニを基準としているので、幼若虫では特徴が不明確な部分もあるので詳しい同定は専門家に見てもらう様にしてください。

シュルツェマダニ

マダニ媒介性の人畜共通感染症の媒介者として最も重要とされているマダニです。日本では北海道、東北、中部山岳地帯に多く、関西以西では高山に少数が分布しています。国外では朝鮮半島、ロシア、東欧などに分布しています。

体長は約3.0㎜。形態学的特徴としては第1脚の根元に長い棘を持ちます。日本ではライム病野兎病の媒介者として知られています。成ダニは4から8月にかけてウシ、ウマ、ヒツジ、シカなどの中・大型獣類から吸血します。(もちろんヒトも宿主の対象となります)
幼・若ダニはトカゲや野ネズミ、鳥類などから吸血するとされています。北海道ではシュルツェマダニが外耳道に侵入し外耳道を閉塞して聴力障害を起こしたという報告もあります。

ヤマトマダニ

日本のマダニにおいて最も人体刺症例が多いマダニと言われています。
日本国内では北海道から屋久島以北の各地に分布し、本州の山岳、平野部では普遍的なマダニとされています。国外では朝鮮半島、中国、台湾、ネパールなどにも分布しています。

体長は約3.0㎜。体は黄褐色で形態学的な特徴は第1脚の根元に鈍端な短い棘を持つことがあげられます野兎病バベジア症の媒介者と考して知られています。成ダニは4から9月にかけてヒトを含む中・大型動物に寄生します。幼・若ダニは地上には現れず野ネズミやモグラなどの小哺乳類に寄生するとされています。

フタトゲチマダニ

現在、日本で最も繁栄しているマダニとされ特に近畿地方より南西では本種による人体刺症例が多いとされています
日本では沖縄を除く日本全土に見られ東北から九州までの牧場に多いとされています。最近は都市部周辺などでも普通に見られるようになってきていると言われています。国外では朝鮮半島、中国北部、ニュージーランドやオーストラリアにも分布しています。

体長は2.0から3.0㎜。形態学的な特徴は体の前端にある触肢の第3節に棘を持つこと第1脚の根元の棘が他の脚の棘と比べて長いことなどがあげられます。日本紅斑熱バベシア症の媒介者として知られ、SFTSの媒介にも関与していると考えられています。

宿主域が広くウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコなど中・小形の動物、鳥類、ヒトも宿主の対象になります。ヒトの場合は成ダニだけでなく、幼・若ダニによる被害も多く発生しています。

キチマダニ

日本全土の平野部に多いマダニとされています。農村部ではイヌへの寄生例が多いマダニとしても知られれいます。
日本国内では沖縄を除く日本全土に分布し普遍的な平地産チマダニであるとされています。国外では朝鮮半島にも分布しています。

体長は2.0から3.0㎜。形態学的な特徴は第4脚の根元の棘が鋭く長く伸びていること未吸血時の成ダニの体色が黄色を呈していることがあげられます日本紅斑熱野兎病の媒介者として知られています。イヌウサギが最も一般的な宿主とされていますが、人を含めて他種の野生動物鳥類げっ歯類も好んで寄生します。

活動期間がチマダニ属の中で最も広く冬季でも野生動物の体表に寄生している姿が確認されるとされています。

タカサゴキララマダニ

日本産のマダニの中では最大級のマダニです。
日本国内では関東の温暖地から西南日本、沖縄にも分布しています。国外では中国、東南アジア、インドにも分布しているとされています。

体長は約7.0㎜。形態学的な特徴は背甲表面にエナメル斑(黄土色の地に赤褐色の斑紋)があること第1脚の根元にほぼ同じ長さの棘を2本持つこと背甲の辺縁部に単眼を持つことなどがあげられます感染症の媒介に関しては不明ですが、SFTSウィルスを保有していることが確認されています。成ダニはウシ、ウマ、イノシシなどの大型動物、幼・若ダニはイヌ、ネコなどの中・小形の哺乳類鳥類カエルなどに寄生するとされています。もちろん、人体寄生例も多く九州、沖縄地方では人体寄生例の大半を占めると言われています。(筆者の経験ですが、寄生虫学会などでの人体刺症例も多く本州でも人体寄生例が多く報告されています)
人体の刺症例では肛門外陰部足の指の間など下半身での寄生例が多いとされています。

ダニエル君の一言メモ
日本を代表するマダニ5人衆の登場だよ‼カッコイイね!
シュルツェマダニさんは寒い所や標高の高い所が好きだね、あと耳の穴みたいな狭い所も好き
ヤマトマダニさんは日本全土に見られるマダニだね、どうしてか解らないけど高い所が好きでよく顔にくっついてるよ
フタトゲチマダニさんは最も繁栄していると言われるマダニだね、人を襲うことも多いから注意しないと!
キチマダニさんは犬が大好きなんだよ!冬でも元気なひとだから寒い時期も気をつけてね!
タカサゴキララマダニさん!あの大きな体は憧れちゃうな、人を襲うことも多いんだけどタカサゴキララマダニさんはどうしてか下半身が好きなんだよね

その他のマダニ


↑チマダニ属のマダニ(出典:PIXTA)
ここからは人に危害を加える主要なマダニ以外のマダニについて触れていきたいと思います。人に危害を加える主要なマダニに含まれないからと言って人への寄生の可能性が無いわけではありません
マダニは宿主を選んで寄生していると言うわけではないので、重要とされる種類以外のものでも人への被害が確認されています。逆に医学的に重要とされていない種類は分布域や感染症の保有などについての情報が乏しいこともあるため注意が必要とも言えます。

ツリガネチマダニ

フタトゲチマダニとの鑑別が難しいマダニです。主に都市部のイヌに多くみられるチマダニとして知られています。
日本国内では沖縄を除く日本全土に分布しています。国外では朝鮮半島、中国東北部、モンゴルなどに分布しています。

体長は約3㎜。形態学的な特徴は体の前端にある触肢の第3節の棘が無いこと、蝕肢の後端が側方に強く突出しフレアスカート状となるため顎体部がツリガネ状を呈する点などがあげられます
イヌが最も一般的な宿主とされていますが、ウシ、ウマ、ネズミ、ヒトへの寄生例も報告されています。イヌの脚の趾間に好んで寄生するので、イヌが強い痛覚を訴え神経症状を呈することもあるとされています。

タネガタマダニ

シュルツェマダニとの鑑別が困難なマダニとして知られています。
日本国内では北海道南部から九州まで広く分布しています。国外では朝鮮半島にも分布しています。

体長は約3.2㎜。形態学的な特徴は第1脚の根元に長い棘を持ちますが、未吸血時でも第2脚に届く程度でシュルツェマダニほどは長くないこととされています。感染症の媒介に関しては日本国内では知られていませんが、韓国ではライム病の病原体が分離されています。成ダニはウシ、ウマ、シカ、タヌキのなどの中・大型の哺乳類に寄生し幼・若ダニはノネズミや鳥類、カナヘビなどの小動物(カナヘビでは特異的)に寄生します。ヒトへの寄生例も報告されています。

アカコッコマダニ

日本国内では東北地方から九州を含めた日本の西南部まで広く分布しています。国外では朝鮮半島やネパールにも分布しています。

体長は約3.0㎜。形態学的な特徴は雌の背板は縦長の菱形、口下片は先端に尖っている全ての脚の根元の外側の棘と第1脚の根元の内側の棘は同じくらいで円錐状であることなどがあげられます
主な宿主は鳥類ですが、幼・若ダニ期はノネズミなどにも寄生します。ヒトへの寄生例も報告されています。

ヤマアラシチマダニ

日本国内では四国から南西諸島中国地方でも確認されています。国外では中国から東南アジアに広く分布しています。

体長は約3.0㎜。形態学的な特徴はフタトゲチマダニに似ていますが、蝕肢の第2節の内側に瘤状突出がみられること第2節の後縁中央が角ばって突出していることがあげられます
他種の中・大型動物を宿主としていて、ヒトへの寄生も報告されています。
広島県ではヤマアラシチマダニから日本紅斑熱の病原体が検出されています。

タヌキマダニ

日本国内では本州、九州及び対馬に分布しています。
体長は2.5から3.0㎜。形態学的な特徴は蝕肢が比較的短くて幅広い点第1脚の根元に鋭く長い棘を持つことがあげられます
成ダニはタヌキ、アナグマ、イヌなどの中型の哺乳類に寄生します。

ヒトツトゲマダニ

日本国内では本州(関西以北)に分布しています。
体長は約4.0㎜。形態学的な特徴は蝕肢と口下片が著しく長いこと第1脚の根元の内側に基部が太い棘をもつことなどがあります。カモシカに寄生することが知られています。

タイワンカクマダニ

日本国内では本州南西部、奄美大島などで見つかっていて、国外では台湾で分布が確認されています。
体長は7から14㎜。形態学的な特徴は蝕肢が太く外縁側が丸みを帯びている点背甲の側面に単眼を有することがあげられます
ツキノワグマやイノシシなどの大型動物への寄生が確認されています。

オオトゲチマダニ

日本国内では北海道から奄美大島まで広く分布していることがり知られています。
体長は約4.0㎜。形態学的な特徴は第4脚の根元の棘がキチマダニよりも長いことがあげられます。イノシシやシカ、ツキノワグマなどの大型動物への寄生が確認されています。

ダニエル君の一言メモ
僕たちマダニは日本で13属720種が確認されているよ
種類は違っても生活スタイルはあまり変わらないんだ、人や動物に取りついてその血を吸って生活してる
決まった種類の動物にしか寄生しないこだわり派のひともいるんだけど、ほとんどのひとはそんなこだわりなんて無いからみんなも咬まれないように気をつけてね!

マダニの被害にあわないための対策

様々なマダニについてお話をさせて頂きましたが、ここからはマダニの被害にあわないための方法についてお話をさせて頂こうと思います。
上記で様々なマダニの種類について紹介をさせて頂きましたが、マダニの種類が異なる場合でも基本的な対策の方法は同じです
どういった対策を行うことが効果的なのかと言うことについてお話をさせて頂こうと思います。

マダニの捕獲方法

まず、身近な場所にマダニがいるのか知りたい、もしくは調べてみたいと言う場合ですが、簡単な採取法があります。
「旗ふり法」と呼ばれる方法で用意するものは白いフランネル布支柱となる棒です。

縦1メートル、横70~80㎝くらいの白いフランネル布を用意して、片方の端を棒に巻いて旗にします
この旗で気になる場所の草の上などをなでていきます。
宿主に寄生しようと待ち構えているマダニがこの布に飛びついてくるので簡単に捕獲できると言うわけです。
*捕獲したマダニに咬まれないように扱いには十分注意してください。
*捕獲したマダニを観察する際は殺虫剤などで殺虫してから観察してください

マダニに寄生されないための対策

マダニの被害にあわないためにはまず寄生されないようにすることが第一となります。
そのための方法についてお話をしていこうと思います。

マダニに近寄らない・近寄らせない

マダニは主に草の先植物の葉の裏側などに潜んで宿主となる動物が近づくのを待っています。
まずはこういった草むらに安易に近寄らないことが対策の一つと言えます。
雑草などが茂っている場合は草を刈るなどして、マダニが潜む環境を無くしてやることも重要です。(刈った草はそのままにせず捨てるようにしてください)

↑マダニが潜んでいた山際の草むら(中央の草の間に多数のマダニが潜んでいる)

↑捕獲されたチマダニの仲間

↑布に付着した多数の幼ダニ

虫よけスプレーを使用する

虫よけスプレーの中にはマダニへの忌避効果のあるものも市販されています。そういった忌避剤を使用することも効果的です。
特にディートイカリジンの2成分はマダニの忌避効果が確認されています。
忌避剤の成分忌避効果のある虫の種類効果時間など付属の文書を良く確認して使用してください。

忌避剤使用の注意点

忌避剤の成分であるディートは小児に使用禁止の場合があるので濃度に注意してください
・6か月未満の小児は使用禁止
・高濃度製剤(30%)のものは12歳未満は使用禁止
効果時間は使用条件によって減少するため効果を過信しすぎないようにしてください
(夏場など汗をよくかく場合などは効果時間が減少しやすいとされています)

ダニエル君の一言メモ
虫除けはもちろん僕たちも苦手だな
でもお腹が空いてる時なんかは頑張っちゃうこともあるから、あまり効果を過信しないでね
それと、僕たちは地面がむき出しになったような場所も苦手かな
やっぱり葉っぱの裏や草陰が最高だもん!だから草が生えている所にはいる時は注意してね!

長袖・長ズボンの着用

服装によってマダニを寄せ付けないことも重要です。
農作業の時やハイキングの時などは必ず長袖、長ズボンの服を着用して肌の露出を押さえてください
また、ズボンの裾を靴下の中に入れるなど、マダニが侵入する隙間を作らないことも重要です。

帰宅したらまず入浴

帰宅したら上着や作業着は外で脱ぐようにして家内にマダニを持ち込まないようにしましょう
そして、お風呂に入って全身をくまなく確認してください
特に陰部お腹周り脇の下など皮膚が軟らかい部分や確認しづらい場所は要注意です。

動物にも注意する

マダニは主に野生動物を宿主としています。野生動物が餌を求めて田畑や家の周辺に出没することもあるため、こういった野生動物が家の周りや田畑に来ていないか確認するこことも重要です。
また、野生動物だけでなくイヌ・ネコなどのペットの体にくっついてマダニが人の生活圏に運ばれることもあるのでペットのケアもしっかりと行う必要があります。

もしもマダニにかまれてしまったら

もし、マダニが咬みついていた場合は速やかに医療機関を受診してください。
安易に除去したりしようとせずに、速やかに最寄りの病院を受診して除去してもらう必要があります。
上記の通りマダニはセメント物質で宿主の体と自分の体をくっつけているので、下手に触るとマダニの口の一部が皮膚の中に残ってしまったり、病原体を体に押し込んでしまう危険もあります

咬みついているマダニを見つけても絶対に安易に触れてはいけません。

ダニエル君の一言メモ
僕たちが咬みついてるのを見つけても絶対に自分で取ろうとしないでね‼
口下片がちぎれてたらしこりがずっと残ることもあるし、どんな病原体を持っているかも解らないからね
咬まれたらそのままにしてすぐにお医者さんに行って取ってもらってね

このような話を聞くとマダニがとても恐ろしく感じるかも知れませんが、マダニも野生動物とともに生きる一匹の虫でしかありません。人と自然の距離が縮まればおのずと接触する可能性も増加します。
正しい知識を持ってきちんと対処することが、野生の生き物と触れ合ううえで重要となることを忘れてはいけません。

ダニエル君の一言メモ
これで僕の話はおしまいです。最後まで聞いてくれてありがとう!
普段聞かないような話ばかりだったと思うけどどうだった?
人の社会にルールがある様に僕たちも自然のルールに沿って生きているんだ
だから、お互いのことを良く知っていい関係を気づこうね
約束だよ!一寸の虫にも五分の魂ってね!

参考文献

「図説 獣医衛生動物学」今井壮一、藤崎幸三、板垣匡、森田達志 著(講談社サイエンティフィク)2009
「新版 日本の有害節足動物 生態と環境変化に伴う変遷」加納六郎、篠永哲 著(東海大学出版会)2003
「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」夏秋優 著(秀潤社)2013
「医療従事者のための医動物学」伊藤洋一、山口昇、安居院宣昭、内田明彦 著(講談社サイエンティフィク)1995
「病原ダニ類図譜」高田伸弘 著(金芳堂)1990
「ダニ病学 暮らしのなかのダニ問題」高田正敏 著(東海大学出版会)2013
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/25/hidsc-kansen-wadai-images-kouhannetu-fig2.html
https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html

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臨床検査技師、医動物学非常勤講師

中西 正憲

臨床検査技師として細菌検査、寄生虫検査、衛生動物(ダニ,ハエ等)検査をしています。大学の非常勤講師として
寄生虫・衛生動物についての授業も受け持っています。臨床寄生虫学会に所属していて現在の日本の寄生虫の状況など
についても学んでいます。

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