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ギリシャリクガメの飼育方法【生き物博士が教える】

変なペットマイスター(熱帯魚歴25年、爬虫類歴20年、その他昆虫等も飼育)

gekco

犬猫アレルギーだけど生き物が好き、という悲しい性からか、フワフワでもモフモフでもない生き物に惹かれ続ける35歳。 初めて飼った生き物はカブト…

爬虫類の中でも特に広い層から人気を博しているのが、リクガメの仲間です。
大きなゾウガメが悠然と歩く姿も迫力満点でいいのですが、小型のリクガメがポコポコと歩く姿も、可愛らしくて魅力があります。我が家でも、妻が衝動買いしてしまったギリシャリクガメが暮らしています。
小型のリクガメは何種類かいるのですが、見かける機会の多い種の一つがギリシャリクガメです。
爬虫類専門店でなくても、売っていることはあると思います。
飼育は決して難しくありませんが、誤解されているところもあり、実は知っておいた方がいいことがいくつかあります。
そんなギリシャリクガメの飼育方法についてまとめました。

目次

  1. ギリシャリクガメってどんなカメ?
  2. 大所帯!ギリシャリクガメの種類
  3. ケージは?温度は?ギリシャリクガメを飼うために必要なもの
  4. セッティングと飼い方
  5. ギリシャリクガメを飼ってみよう
  6. ギリシャリクガメは冬眠できる?
  7. ギリシャリクガメはなつく?

ギリシャリクガメってどんなカメ?

我が家のギリシャリクガメ。まだ10センチほどの子ガメです。アラブギリシャとして購入した個体です。甲羅のモザイク模様が個性的ですね。色合いや模様の入り方には個性があるので、好みの個体を探す楽しみがあります。

ギリシャリクガメはどこに住んでいるの?

非常に広範囲に生息するカメです。南はアルジェリアやシリア、エジプトなど「北アフリカ」と呼ばれる地域から、北はマケドニアギリシャ、さらに西側はスペイン、東側はロシア付近に至るまで分布しています。世界地図を広げるとわかりますが、地中海を取り囲むように分布するカメです。後で紹介しますが、「ギリシャリクガメ」としてペットショップで売られているカメには何種類もの異なるリクガメが含まれている可能性があり、産地ごとに種名が少しずつ違います。基本的には、どの種類もやや乾燥した草原のような場所を好みます。草食性ですが、稀に動物の死体などを食べることもあります。

ギリシャリクガメの大きさは?

カメの場合、甲羅の長いほう(頭側から尻尾側)の長さを測って「甲長」として大きさを表現することが多いのですが、ギリシャリクガメの甲長は約20センチ程度です。ただし、後述する種類の関係もあって大きさにはばらつきがあり、中には30センチほどになるものもいます。

ギリシャリクガメの寿命は?

「カメは長生き」というイメージがありますが、特にリクガメは長生きです。脊椎動物最年長のギネス記録はホウシャガメというリクガメで、189年も生きたとされています。
ギリシャリクガメについてはきちんとした記録があるわけではありませんが、30年~50年くらいは生きると思われます。飼うなら最後まで責任を持って飼いましょう。本来の寿命を考えれば、飼い主よりも長生きしてもおかしくないので、何かがあったときの引き取り先も考えておいた方がいいかもしれません。

<ギリシャリクガメ>
和名
ギリシャリクガメ(学術的には細分化されている)
分類
カメ目リクガメ科チチュウカイリクガメ属
甲長
20~30センチ
寿命
30~50年

大所帯!ギリシャリクガメの種類

実は、一口に「ギリシャリクガメ」と言っても、生息地や形態の特徴から、何種類にも分ける学説が浮上しています。分け方や特徴など、まだまだ学説は混沌としているのですが、とりあえず国内で比較的よく見かけるものは以下の6種です。

学名呼び方主な生息地
Testudo terrestrisアラブヨルダン、シリア、レバノン
Testudo iberaトルコトルコからバルカン半島周辺
Testudo anamurensisアナムールトルコ南部からアナトリア半島周辺
Testudo cyrenaicaリビアリビアとエジプトの国境周辺
Testudo nabeulensisチュニジアチュニジアのみ
Testudo graecaギリシャモロッコからスペインの一部まで

このうち、もっとも目にする機会が多いのはアラブギリシャで、一般的に「ギリシャリクガメ」として売られているのもアラブギリシャです。ただし、まとまった数で売られているときに、アラブギリシャに混ざって違う種が入っていることもあります。また、専門店に行くとこれらを区別して販売していることもあります。

特に記述はありませんでしたが、リビアギリシャと思われる個体。モザイク模様が多いギリシャリクガメの中で、より複雑な独特の模様をもっています。

リビアなどは模様が独特なので見分けやすいのですが、見た目にはわからない場合がほとんどです。ネットの掲示板などで飼育方法を質問した人に対して、回答者が「うちではこの飼い方で上手に飼えている」と回答しているケースが見られますが、質問者と回答者で飼育している種が違い、飼い方が違うということもあり得ますので、注意が必要です。

ここでは、アラブギリシャの飼育方法を解説します。もしアラブギリシャ以外のギリシャリクガメを飼育するとしても、アラブギリシャと同じ方法で飼育すればまず問題はありません。

ケージは?温度は?ギリシャリクガメを飼うために必要なもの

ケージ

リス プラ舟 60

本来はコンクリートをこねるために使う容器ですが、軽くて丈夫なので、リクガメ飼育にはぴったりです。ただし、熱には弱いので、スポットライトなどを使うときには注意しましょう。

部屋ごとエアコンで温度管理して、プラ舟や衣装ケースを使うのがおススメです。リクガメは、木登りや潜水など立体的な運動ができず、平らなところを歩くことしかできないので、ケージはとにかく広いものを用意しましょう。横幅70センチ、奥行き40センチは欲しいところです。壁を乗り越えることはないので、ケージの高さを気にする必要はありません。

ヒーター

みどり商会 スーパー1 Lサイズ

完全防水なので、ヒーターの上でおしっこをしたり水入れをひっくり返したりしても安心です。表面のコーティングもしっかりしていて、ギリシャリクガメのツメくらいでは傷つくことはありません。ケージの中に入れて使うことができます。

おなかを冷やすと消化不良を起こすので、ケージ底面に敷くパネルヒーターなどを使います。カメが乗っても余裕があるくらいの大きさのヒーターを選びましょう。また、ケージとしてプラ舟などを使う場合、ケージの下に敷くタイプのヒーターだと、ケージ底面とヒーターとの間に隙間ができて温まりきらない場合があります。耐久性の高いヒーターを使い、ケージ内にヒーターを入れてしまうのも一手です。

スポットライト

ヤザワ クリップライトE26

フード付きのスポットライトです。クリップ付きなので、工夫すればいろいろな設置方法が使えます。

パナソニック レフ電球(屋内用) E26口金 100V60形

レフ球と呼ばれる電球です。光と熱を発し、しかも全方向ではなく真正面方向にしか照射されないようになっています。爬虫類専用の商品もありますが、こういったものでも使うことができます。

おなかだけでなく、背中も温められるようにしましょう。エアコンで温度管理していても、カメがいつもより体温を高めたいときにはスポットライトに当たりに来ます。爬虫類専用のライトを使うか、「レフ球」と呼ばれるライトを使いましょう。60ワット~100ワットのものが使いやすいでしょう。

紫外線ライト

レプタイルUVB10.0 26Wライト

太陽の光に近いバランスで紫外線を照射する蛍光灯です。上で紹介したクリップライトにつけて使うことができます。熱を発するわけではないので、スポットライトのような使い方はできません。また、連続で使用しても2年くらいは光っていますが、半年くらいで紫外線の量が半分以下になるといわれています。できれば、半年に一度交換しましょう。

カメは紫外線を浴びないと、カルシウムを吸収できず、歩けなくなるなど神経障害を起こします。特に子ガメの場合、甲羅の成長にも影響があります。毎日、外で日光浴させられるならいいですが、そうでないなら市販の紫外線ライトを使いましょう。

温度計

A_Life 赤外線放射温度計

対象にセンサーを向け、スイッチを押せば瞬時に対象の表面温度を測ってくれる便利な器具です。
対象から離れれば離れるほど、周囲の温度を検知して不正確な温度を表示してしまうので、できるだけ近づけて使用するのがポイントです。リクガメの飼育では、カメの甲羅の温度を測りたいときなどに重宝します。

エアコンを使っているのなら固定式の温度計はなくても大丈夫です。サーモガンタイプの温度計は必ず用意しましょう。

水入れ

ジェックス フィーディングディッシュ S

本来は餌入れですが、リクガメの水入れにはこのくらい浅いほうがいいでしょう。安定性もよく、ひっくり返される心配がありません。

毎日新鮮な野菜を与えられれば、特になくても問題ありませんが、念のため入れておきましょう。カメの全身が入る浅い容器にします。重いものを使わないと、カメにひっくり返されてしまいます。

セッティングと飼い方

ここでは、エアコンで部屋ごと温度管理している前提でご説明します。室温は25℃前後あれば大丈夫です。

セッティングの仕方
床材を敷く
ヒーターを設置する
ライトを設置する

床材を敷く

ジクラ (Zicra) 爬虫類専用万能ヤシガラマット 細目 8L

圧縮タイプのヤシガラ土で、水を含ませると8Lほどに膨らみます。リクガメのように乾燥させて使う場合は細かな粉が舞うのが欠点ですが、使い勝手のいい床材です。

カメが踏ん張れるものなら何でも構いません。我が家では「ヤシガラ土」という、ココヤシの繊維でできた土を使っています。単価が安く、軽くて、いらなければ燃えるゴミで捨てられるので重宝していますが、細かいチリが舞うのが欠点です。チモシーやわらを使うと、カメが潜り込んで休むことができます。新聞紙やキッチンペーパーはやめておきましょう。硬くて平らな地面では、爪や指が曲がってしまい足に障害が出ることがあります。

ヒーターを設置する

ケージの下に敷くタイプなら、先にヒーターを置いて、その上にケージを置きましょう。中に入れてもいいタイプのヒーターなら、そのまま中に入れるだけです。

ライトを設置する

紫外線ライトは、紫外線の強さによって当てる距離などが違います。購入したお店で使い方を聞いたり、箱の注意書きをよく読むようにしましょう。私の場合、「UVB10.0」というタイプのスパイラルライトを使い、ライトからケージ底面まで20センチくらいになるように設置しています。
スポットライトは本体が高温になるため注意が必要です。プラ舟や衣装ケースをケージに使っている場合、ライトが近すぎると熱で溶けてしまいます。少し離して使うようにしましょう。

我が家の飼育例①。まだ10センチほどの個体なので、60センチの熱帯魚用水槽でも飼育できます。もう少し大きくなったら衣装ケースなどにお引越しです。水槽上面についている2つのライトはそれぞれスポットライトと紫外線ライトです。水槽底面に、パネルヒーターを敷いています。中央にあるのは餌入れです。

我が家の飼育例②(写真のカメはギリシャリクガメではなくロシアリクガメ)。大きくなったらこのような飼い方にしています。最低でもこのくらいの広さは確保したいところです。我が家では棚の中断にケージを置いていて、写真では見えませんが内側に紫外線ライトを仕込んできます。映りこんでいるライトがスポットライトです。また、写真のカメがいるところの真下にヒーターが入っています。

ギリシャリクガメを飼ってみよう

ギリシャリクガメを買いに行こう

初めて飼うのなら、やはり専門店での購入がおススメです。特にリクガメに詳しいお店なら、正体不明のギリシャリクガメを飼う心配もありません。甲羅の模様や色合いには個体差があるので、好みの個体を探すのも楽しいでしょう。健康状態が不安な時は、お店の人に選んでもらうこともできます。

ギリシャリクガメに餌をやろう

野菜・雑草

草食性なので、市販の野菜を与えることができますし、タンポポなどの雑草を与えることもできます。野菜でも雑草でも同様ですが、単一のものだけを与えるのはやめましょう。栄養バランスが偏ってしまいますし、そのまま偏食につながることもあります。数種類の野菜を組み合わせ、えり好みできないように細かく刻んで与えましょう。

人工飼料

ビバリア リクガメフード

ふやかして使うタイプの人工飼料です。色が鮮やかで香りも良く、多くの個体が喜んで食べてくれます。

リクガメ用のフードが何種類か販売されています。たんぱく質が多いため、リクガメの種類によっては成長障害を起こすことがありますが、ギリシャリクガメの仲間はあまり影響がありません。ふやかして使うタイプ、ゼリー状のタイプなど、使いやすいものを使いましょう。野菜がないときの非常食として保存しておいてもいいですね。

カルシウム剤

ジェックス カルシウム40g PT1850

爬虫類のカルシウム補給のために作られたサプリメントです。
我が家ではすべての爬虫類にこの商品を使っていて、どれも健康に育っています。

カルシウムが不足すると骨がボロボロになってしまう、というのは人間でも聞かれますが、骨がボロボロになる前に神経に異常をきたし、歩けなくなってしまうことがあります。子ガメの場合は甲羅の成長に影響する場合もあります。また、カルシウムの吸収にはビタミンなども必要です。一通りブレンドした総合サプリメントが売られているので、そういったものを使いましょう。

餌の与え方とタイミング

この日のメニューはキャベツとニンジン。入れた直後に食べ始めました。

特に小さな個体の場合、朝と夕方で一日二回は餌を与えるようにします。生後1年を過ぎたら1日1回でも大丈夫です。
餌入れにはカメが中に入れるような浅くて広い容器を使います。毎回、少し余る程度の量を与えましょう。また、野菜などは放っておくとすぐに干からびてクシャクシャになりますが、わざと干からびたものを食べることもあるので、そのまま入れておいて構いません。
ただし、餌を食べた後に温まれないと、消化不良を起こすことがあります。ライトを消す2時間前以降は、餌を与えないようにしましょう。

ギリシャリクガメは冬眠できる?

ここが、ギリシャリクガメがもっとも誤解を受けている点です。
ギリシャリクガメは冬眠できるので、年間を通して屋外飼育できると思われていることがあります。
確かに、ギリシャリクガメの中には寒さに強いものもいますが、それはトルコギリシャのことだろうと思われます。現在主に流通しているアラブギリシャは暖かい気候の場所に生息しているため、冬眠しない場合が多いのです。このことを知らずに、アラブギリシャを冬に低温にさらすと、肺炎にかかって死んでしまうこともあります。たとえトルコギリシャでも、冬眠が必ず成功するとは限りません。夏の間だけなど、時期を限定して屋外に出すのはいいと思いますが、冬は無理に屋外飼育せず、室内できっちり保温しながら飼う方がいいでしょう。

ギリシャリクガメはなつく?

カメはもともと視力が良く、記憶力も良いといわれています。数メートル以内での視力は人間に匹敵し、表情の違いまで認識できるそうです。「なつく」という表現が正確かどうかわかりませんが、たとえば飼い主の姿が見えただけで近寄ってくることはあります。我が家のリクガメは夏の間はベランダで飼っていますが、サッシを開けただけで隠れ家から出てきますし、餌の用意をしているとケージの隅から頭を出してこちらを見ていることがあります。必ずそうなるわけではないので過度な期待は禁物ですが、長く飼っていれば、そういった付き合い方もできるかもしれません。

とても長生きする生き物なので、飼育を始めるには覚悟が必要ですが、長く付き合っていけるいいペットになるのは間違いありません。ぜひ、お気に入りの一匹を見つけ、大切に長く育ててみてくださいね。

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変なペットマイスター(熱帯魚歴25年、爬虫類歴20年、その他昆虫等も飼育)

gekco

犬猫アレルギーだけど生き物が好き、という悲しい性からか、フワフワでもモフモフでもない生き物に惹かれ続ける35歳。
初めて飼った生き物はカブトムシ、その後にお年玉を全額投入して熱帯魚にハマり、中学生で爬虫・両生類と、順調に進化してきた
ものの、そのまま現在に至る。結婚して一児の父となったものの、相変わらず生き物に小遣いを投入し続け、自宅に「飼育部屋」が
できるほど。カメやヘビ、トカゲ、果てはキジバトなど多数飼育中。
子供向けの自由研究講座の講師なども引き受け、分かりやすさとアイデアの豊富さで好評を博している。

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